ローゼンブラックのさらなるつぶやき

とにかく色んなこと書いてます。twitterID:shimotsuki_6624

オタクの婚活の難しさの話

こんにちは。ローゼンブラックです。

さて、昨今はオタクたちの婚活が話題となっておりますね。最近、私のTwitterのTLでも同期と思われる方で「恋人ができました!」というご報告があったり何なりで大変です。私をそれを見る度に感謝や祝福の気持ちに溢れます(私のFFの仲のいい人なんかは特に)。

しかし同時に、私のTLには自分も含むそんな「婚活」のこの字も出ないほど縁がない人も大勢いらっしゃいます。そこで、今回はオタクの婚活がいかに難しいかを言おうと思います。

 

①オタクはこういう生き物

その前に、オタクは概してどういう生き物であるかについて理解しなくてはなりません。今となっては学校でも所謂オタク系アニメが一般化されてきている訳ですが、私が小中学生の頃は不良の方が大半を占めており、アニメオタクというのはかなり閉鎖的なコミュニティだった訳ですね。そこで不良勢から虐げられたということもあって全く違う境遇の人との意思疎通というのが正直言ってかなり難しい状況だった訳です。おそらく、私と同じく今から十数年前から所謂オタクコンテンツを渡り歩いてきた人はそういう窮地を歩んできた人が9割でしょう。そして、そんな現実が嫌になって自分が好きなアニメの世界を理想としてそれに酔ってしまいがちです。

さらに、オタクは同時に自我の強さの差が一般の健全な人と比べて歴然としている人が多いと思います。だってそうでしょ?不良共から虐げられても尚屈せずに生きていけてるのは、社会からは物好きと思われている趣味を持つ狭いコミュニティ同士で切磋琢磨し合った結果、自分の強みというものを自覚するようになったからです。そして、この狭いコミュニティで長年過ごしていると、不良やいわゆるウェイ系のような烏合の衆を好む界隈も嫌う癖がついてしまうわけです。もちろんこれは悪く言えば、他と違う境遇の人の妥協を一切許さなかったり、某ブログでも言われてた通り、初心者にとって「取っ付きにくい」オーラを醸し出してしまう傾向があるということですね。

まとめて言うと、オタクというのは概して良くも悪くも扱いにくい人間だということですね。

 

②本題

婚活するかどうかについてはもちろん、半分は社会環境にも左右されていますが、もう半分は人それぞれの境遇や人格にも左右されているわけですね。もちろん、オタクは恋愛面においても扱いにくいと思います。いや、今はオタク同士でも恋人ができてる人というのはいくらでもいることを考えると、対象となるのは先述の自我の強いオタクと言った方がよさそうですね。恋愛がうまくいくかどうかの差は、自分のリアルに対する意識と意思疎通レベルが大きいと思われます。ここで意思疎通レベルをわかりやすく言うと、違う境遇や趣味の人とでもどれくらいうまくコミュニケーションが取れるか妥協できるかの度合いとしています。

婚活がうまくいく人の意思疎通レベルというのは自我の強いオタクと比べると全然違うわけです。前者は、人に気を効かせるノウハウなど何事にも屈せず経験が豊富だったことから、これがアドバンテージとなっていたことでしょう。しかし、後者は人から虐げられた経験が殆どであり意思疎通が難しくなるほどのトラウマを抱えてしまっている以上、それを克服するのは至難の技でしょう。それどころか、自分の好きなアニメの世界に酔いすぎて、例えばあのキャラみたいな優しい子が現実世界でいなくて絶望しているという考え方になり、リアルの生活に意気消沈しがちです。

 

よく婚活のアドバイスというのは恋人持ちとか経験者から学ぶべきという話を聞きますが、正直言って効果がないと思っています。

自我が強いオタク側からすれば、相手が恋人さえ持っていれば、たとえその人がオタクであろうが何であろうが現実世界の生活で何らかの妥協や希望があったりする人で、ある程度人生経験が豊富でDQNとウェイ系の仲間であるという認識をしてしまい信用できないわけです。そもそも先程言ったように、アドバイスする側とされる側とでは人生経験やコミュニケーション能力が雲泥の差なわけですからどんなにアドバイス受けようとも板につきにくいのです。

 

そんなわけでオタクの婚活は自我が強ければ強いほど難しいんですけど、やはり真剣に婚活を考えようと思えるだけでも素晴らしいし、もしそういう人が成功したら恋人を守る人として一番理想的になるという希望を持っています。しかし、婚活を考えようという意思を持ってる人自体そういうオタクで少ないと思うので、根本的な解決は難しいんじゃないかと思います。

新大平下駅に行ってきた

どうもこんばんは。

ついこないだ、久しぶりに東武日光線に乗ってきた訳ですが、その中で個人的に気になった駅が新大平下駅でございます。

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なぜ?新大平下駅が気になるかって言うとですね、2017年4月20日より前までに実施されていた快速があり、東武日光線内の快速列車停車駅で唯一特急停車の設定がないだったからなんですね。そして現在でも代替として新設された急行停車駅でもあります。そこで今回はこの秋に快速が止まる理由が駅周辺観察すればわかるのではないかと思い実際に行ってきました。

 

駅構造

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島式ホームが2つの2面4線構造になってますね。最初から多くの利用客を見込んでたのかも。いや、それとも日光線のちょうどこの区間は駅間が長いところが多くて優等列車退避の拠点にしたのかも知れない。ただ、そうだとすると隣の栃木駅新栃木駅でも良い気がしなくもない。あるいはその両方か?といった印象ですかね。

しかし、これだけでは駅の外に出てみないとわからないので外に出てみました。

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友人駅舎で東口と西口がありますが、写真は東口です。ちょっと暗くてわかりづらいかも知れませんが、左側の建物はプラッツおおひらで、土産物が売ってたりレストランがある自治体管理と思われる建物がありました。2つ隣には旧大平町役場(現:栃木市役所 大平総合支所)もあったり旧大平町の中心駅だった感じですね。他にも栃木市と合併する前の自治体の中心駅(というよりかは唯一の駅のが多い)もあるのですが、その中でも、立地的に中心地に近い場所だったのでしょう。

周辺も住宅が多いのですが、南栗橋寄りに進んでいくと、どうやら旧日立製作所の工場もすぐ近いところにあったそうです。

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西口です。正直こちらは夜行ったということもあってか、東口と比べて閑散としてます。

 

まだまだ調査不足で初訪問が夜だったのですが、初めて降りた身としては旧大平町のちょうど市街地に設置されててさらには日立の工場まだあるという感じで快速が止まってたのもわかるのかなぁって気はしましたね。ただ、隣の栃木駅と比べると小規模な印象でしたね。

 

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2017年4月以降の時刻表

 

1日に急行が朝の時間帯下り方面に4本、上り方面に朝と夕方に区間急行6本走ってるそうです。快速の運行本数も廃止直前まで減らされたそうですが。。。

 

正直今回1回きりだと日光線の沿線事情はまだよくわからない状況なので機会をなんとか作って博物館に行ったら全駅調査したりしたいですね。

 

訪問日:2017年10月31日

雷対策の話(避雷針編)

多忙ゆえにいわゆる雷の多い時期からだいぶ遠くなってしまいましたがお久しぶりです。さてさて、前々回あたりに予告した通り、今回は避雷針について考察して行こうと思います。

 

落雷のおさらい

避雷針の話に入る前に、少し一般的な落雷について軽くおさらいしましょう。詳しいことは 「雷のしくみ」のページにありますが、少し軽く説明すると、雷は一方的なものではなく、地上との相互関係で成立すると言う話があったように、落雷は雲から地面にめがけて降り注ぐ放電(ステップリーダ)と、地面から上空に向かう放電(ストリーマ)の2つが結合して放電路ができ、その放電路に大量の電荷が流れる現象です。つまり、落雷が地面からの放電についても同時に成立しなければならないと言うことは、地上にいる我々が落雷回避のための対策が取れるということになるわけですね。

 

避雷針の役割

避雷針はこのストリーマをうまく活用したものになります。雷撃をあえてこの針に誘導させて雷電流を大地に流すことによって例えば建物への落雷による被害を防ぐことができます。正直、名前が「避雷針」よりも「導雷針」と言った名前のがお似合いかと思われます。

ここで、なぜ「針」なのかっていう理由を簡単に説明すると、もちろん敢えてその場所に放電しやすいからです。実は放電の種類で、電界が不平等だと局部的に放電が起こるというコロナ放電というものがあります。そこで、針状にすることで、上空までの電界が不平等になるので放電が起きやすくなるというわけです。 

 

避雷針の重要な性能

もちろん、落雷という大電圧でかつ予測のつかない自然現象を防ぐのには避雷針の構造が高性能であることが必要です。そこで具体的に必要な性能をご紹介します。

①雷に対する耐圧や電流の大きさ

もちろんこれは、避雷針が雷に当たっても破壊されないためにも重要なパラメータとなっていきます。

②高さや設置位置

おそらく、避雷針を設置する上で最も重要になってくるかと思われます。避雷針の高さが高いほど、保護範囲を広く取る事ができるということを示しています。設置位置についても、例えば引火性物質を取り扱うところでは爆発して火災が発生したり、電子機器を多く扱うところでは機器が動かなくなったらなどの副作用が大きくなってしまうのでプラスアルファの避雷対策が必要ですね。

 

保護範囲を見積もる方法

当初は下の図のように、避雷針の高さhとその先端を通る鉛直線と保護範囲を見込む角保護角θで計算していました。

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しかし、これでは信頼性が薄く、最近ではさらに下の図の回転球体法を用いて行われています。つまり、初めから雷撃距離rを大地と1つまたは2つ以上の避雷針とに接するような回転球体を考えて、その球体表面から被保護物側を保護範囲とする方法です。

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このとき、雷撃距離Rは雷電流Iを次の式を用いて現すことができます。

R=kI^n

ここで、kは定数でおそらく避雷器それぞれ固有の素材に依存したものとなります。nはおよそ0.5〜0.8の値を取ります。雷電流は通常数kA〜200kA程度の範囲に分布するので、Rはおよそ30〜400mの広範囲に及ぶので一定に決められないので、保護範囲は100%の保証はできないということになってしまいます。

 

特別な避雷針

これまで紹介してきた通常の避雷針と少し違ったものが最近開発されています。それが落雷抑制システムズという会社らが開発しているPDCE避雷針です。相違点を簡単に申し上げると、こちらは雷自体を極力落としにくくし、有効範囲での雷電流による被害を完全に抑えるという仕組みになっております。

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構造的には、半球状の電極を上下に配置して、その間を円筒形の絶縁物を用いて固定したものとなっています。円筒形の内側に電極が突出し、少しのエアギャップを隔てて向かい合った構造になっています。下の電極は接地されているのでプラス電荷が貯まります。このとき、静電誘導により、上部電極はマイナスになります。雷雲の下部や雨粒も同じマイナス電荷を帯びるているので、通常起こるお迎え放電を防げるわけです。要するに、地上からの帯電の極性を制御することによって落雷を抑えられているということですね。

 

おわりに

前々回に引き続いて雷対策について書いてきましたが、こうして見ると、高度情報化社会が進むと最大の天敵は地震や今回の雷を初めとする自然災害ということがわかりますね。自然災害というものはどんなに知恵を振り絞って頑張ったとしてもやはり完全には防げないものです。ただ私は、完全に近似できるくらいの自然災害対策技術がこれから次々と生み出されていくのを楽しみにしています。

 

次は何書こうかな?

 

参考文献

電気書院電気計算2016年8月号」(最後の図はここから引用)

・電気学会「高電圧工学」(保護範囲を見積もる方法の2つの図はここから引用)

オーム社「大学課程 高電圧工学」

 

【休憩①】Twitterで話題となった地元のスープ食堂

はじめに

どーもー。こんばんは。

流石に電気工学系ネタだけしかやらないのは流石に辛いですな。というのも、卒研で多忙のためにあまり電気工学系の研究できる時間が取れていないというのはもちろんなんですけど流石に暇潰しになる記事を書かないとモチベーションが流石に上がらなくてですねぇ(まぁ、この電気工学系の記事も半分趣味なんですけどね)。

そこで、今回から不定期で「休憩」の回を設けてその他の趣味の話や雑談を入れていこうと思います。それでは、休憩コーナー第一回目は私の地元の話です。

 

本題

さて、前置きが長くなってしまいましたが今回の雑談ネタはついこの間(2日くらい前だったかな?)Twitter拡散希望があったお店のことについてです。これが、まさかの私の地元(東京都江戸川区葛西地区)だったのでつい気になってしまいました。下の写真の店です。今回はこの店についての食レポをしようと思います。

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(まいぷれのページよりスクショ http://edogawa.mypl.net/shop/00000349487/news?d=1184513)

 

店の場所

なんでも、去年の10月の終わり頃に開店したそうなのですが、客足が伸び悩んでいるとのことでそこの店をやっている方の娘さんが宣伝したそうです。

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場所は上のマップの、点線の先にあるところにあります。実は駅間の中間地点にあたるちょうどこの部分は、当然駅から少し距離があるうえに普段人通りが少ないところでかなり静かなところなんですよね。さらに夜になるとかなり暗くなるんです。確かに客足が届きづらい、いや、もう少し正確に言えば気づきにくいところかもしれないです。

今回、私はこの店に実際に入ってスープを味わってきました。

 

実際に行って味わってみた

今回、私が頼んだのはこちら。ドイツ風のシチューハンバーグスープ。こちらはレギュラーサイズで1200円。

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思ったよりもボリュームがありますね。

ハンバーグの他にナス、玉ねぎ、フライドポテト、大根などの様々な野菜が入っておりました。ビーフシチューの濃厚な味、歯応えのある野菜とハンバーグ。もう、これだけでも栄養と健康に良さそうですね。流石は健康的な料理をうたってるだけあります!あとこれは、シチューを食べているとよくあることなんですが、何と言ってもやはり、野菜にシチューの旨味がたっぷり染み込むのが非常にたまらないんですよね!美味しかったです。

 

肝心の他のメニューですが、こちらになっております。 

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スープ以外でもおつまみとかドリンク類も充実してる感じですね。ただ同時に、スープのメニューももう少し増やしてみると、それこそスープ食堂らしく様々なスープの味が楽しめる店になり、もっと良くなりそうな感じもしましたね。

 

店の雰囲気ですが、お客さん誰に対してもかなりアットホームな感じで接していて印象がかなり良かったですね。

 

おわりに

住宅密集地だけあって、江戸川区にこういうオシャレな店というのは正直かなり貴重なんですよね。地元の良さというのは長年住んでいるだけあって、気づかなかったり見つけようと思えなかったりするものでありますが、少しでも見つけようと思えば、意外なところで興味深いものが見つかったりします。私も拡散ツイートで知った身なんですが、例えばこの店は、地元の人には是非是非行って欲しいところであったりします。

次回は電気工学系ネタをちゃんとやると思います(確定ではないですが)。

雷対策の話(避雷器編)

ごあいさつ

こんばんは、ブログの更新はほぼ1ヶ月ぶりですかね。この空白の1ヶ月間は院試と学会の準備に追われておりましたが、ようやくひと段落が付きました。これにより、投稿を楽しみにしてくださった皆様には久々の投稿になってしまったことを深くお詫び申し上げます。まぁ、ホントはここでお詫びしてもしょうがないんですけどね。

 

今日のテーマ

さて、長い前置きは置いといて、今回も電気工学ネタを呟いていきたいと思います。前回は雷の恐ろしさとともに、落雷対策するのに必要なそもそもの雷の基礎知識を養うために、落雷のメカニズムを紹介しました。しかし、高度情報化社会の今だからこそ、雷から機器・設備を保護することが必須になってきます。そこで今回は落雷に対処する方法の一つを具体的に紹介しようと思います。

 

避雷器

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避雷器はある値以上の電圧がかかると抵抗値が小さくなって大電流を流すことで過電圧を抑制するという仕組みになっております。最も身近なところですと、写真の電柱の最上部に付けられていますよね。避雷器の種類には、高圧用のものと低圧・弱電用のものがございますが、主に前者は電力送電設備などを保護して停電事故の発生を防ぐもので、後者は身近で使われている電気電子機器・通信機器などの保護をする役割を持つものですが、今回は避雷器についてわかりやすくご紹介するため、高圧用について触れようと思います。

 

1.避雷器の構造

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避雷器の構造は、図のようにセラミックス半導体素子(わかりやすく言えば抵抗器みたいなものですね)として酸化亜鉛(ZnO)を主成分として何枚も重ねたものを支持棒と支持板を用いて締め付けられたものを一つの単位として制作し、それがコイルばねで支持する構造となっております。

 

2.避雷器の要求事項

避雷器は、電力系統に雷などの過電圧が発生したときに速やかに過電圧を抑制し、雷電流を大地に流した後、自力で絶縁状態に回復させなければなりません。その必要条件は、

①絶縁性能

②保護性能

③動作責務能力

の3つです。正直、想像つきにくいと思うのでもう軽く説明いたします。つまり、常時の電圧に耐え、過電圧を一定の値まで低減し重要な機器を保護でき、かつ過電圧消滅後も速やかに常時の状態(絶縁状態)に復帰できることが必要となってくるわけです。これは、抵抗器の素材にとっては常時は絶縁体であるが、緊急時には導体として働くことができることが求められるわけですね。

 

3.避雷器の電流-電圧特性

現在よく用いられているのはZnO素子を用いた避雷器ですが、かつては、SiCの素子を用いた避雷器を用いておりました。そこでSiCとZnO素子のそれぞれの特性をグラフにしたものが下の図です。

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SiCは電流を上げると、電圧も徐々に上がってしまいますので、連続使用すると熱破壊が起こってしまうので、直列ギャップを用いて絶縁させる必要があるわけですね。一方、ZnOはある一定以上の電流が流れると、ある電圧まででほとんど停滞することがわかりますね。図のように非線形としてあらわれるということは、先程申し上げた通り、導体として働いているわけですね。ただ、ZnO避雷器には当初ギャップがなかったので素子の寿命を評価する必要があるわけですね。現在では経験的な値でしかわかっておりません。

 

4.避雷器の高性能化

 もちろん、先程の図は高性能であるということを証明するものではありません。電気的な性能だけでなく、壊れにくく安全性が高いことも必要条件となっております。そこで、高性能化させるには次の方法があります。

①ZnO素子に添加物の濃度を制御

②ZnO素子の代わりにポリマー避雷器を用いる

まず、①について説明します。添加物というのは要するに絶縁物質のことです。この量を制御することで、素子に流れるサージ電流を増加させ、復帰を早めることができます。ただ、増加させるだけでなく、電流が素子のどの場所でも流れやすいように均等化も考えていかなければなりません。

②のポリマー避雷器は非常に軽量なだけでなく耐汚損性、耐震性、放圧時の安全性に優れた構造となっているので今後の主流になっていくであろう避雷器になっております。

 

おわりに

久々の更新でした。落雷の頻度が最も多い時期は過ぎて行きました。とはいえ、前回もご紹介したように湿度などの条件が揃えばいつでも起こりうるのです。そこでこの回では身近なところでどう対策しているがという話をしていきましたが、次回も身近なところで用いる雷対策機器を紹介しようと思います。

 

参考文献

電気計算 2016年8月号」電気書院(写真以外の図は全てここから抜粋)

「よくわかる送配電工学」田辺茂著 電気書院

参考文献について

どうも。毎回参考文献を忘れてしまってます。

今までの電気工学ネタは私が学部の授業で学んできたことをもとに書いてますが、参考図書もあるので載せます。

 

①「単位の深イイ話」と「電気磁気学で用いる単位の話」

「電気電子基礎計測」(オーム社)

②「雷のしくみ」

「よくわかる送配電工学」(電気書院)

 

今後は毎回話の終わりごとに参考文献を載せるよう気をつけて参ります。どうも、すみません。

雷のしくみ

はじめに

お久しぶりです。高度情報化社会の進展により様々な電気設備や電子機器が開発されるようになり、今となってはそれらは我々の生活では欠かせないものになりました。ところが、落雷によって電気設備や送配電系統に影響を及ぼすと、生活や産業活動にも累が及ぶのです。そもそも、日常で使う電子機器自体、小さなエネルギーで使えるというのがウリですから雷のような大電圧に対応できる訳がないんです。

つまり、高度情報化社会の発展に比例して雷害によるリスクも高まるのです。さらには、最近では極端な異常気象が多く見られ、平均気温が1度上昇するごとに落雷数が12%増加するという研究報告がされております。実際、下のグラフのように最近になって増加しているということがわかります。

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(昭電のHPより 2010年度までの落雷被害のデータ)

落雷対策のためには、日常でも用いる電気設備や電子機器の周りに避雷器を設置するなどの対策が必要ですが、それ以前に、今回は落雷はどのような仕組みで起こるのか、そしてその被害はどのような見ていこうと思います。

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 (関西東邦産業株式会社のHPより)

 

落雷発生のメカニズム

雷は、図のように雲の中の氷の粒や霰がこすり合って静電気を帯び、内部に電荷を帯びた雲(雷雲)によって発生するのですが、雷雲の下部は負電荷を帯びます。静電誘導によって帯びてしまいます。これによって雲と地面の間に平板コンデンサのような構造ができてしまうわけですね。十分に電荷がたまり、過電圧が加わると蓄えられなくなり、絶縁破壊を起こして放電してしまいます。これが落雷です。

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(佐賀県教育センターの「雷発生のしくみ」のHPの図から改造)

この雷雲は、次にあげる3つの条件が揃えば、季節や場所に関係なく発生する可能性があります。

①空気の移動速度が速い

②空気中に多量の水蒸気が含まれている

③上空の気温が-10度〜−20度程度である。

先述の通り、雷雲は水滴や氷が擦り合わせて電気を帯びるのですが、上昇気流などの激しい大気の移動によって電離します。だから、これらの条件が揃ってしまうと落雷の危険性があるわけですね。

 

冬季雷のメカニズム

一般的な雷雲は、前の図のように縦長でしたが、実は世界ではノルウェー西岸と日本海側でのみ見られる珍しい雷現象として冬季雷というものがあります。通常の雷は先述の通り、上昇気流に伴うものですが、冬季は上昇気流が弱いものの、もともと図のように高度が低く(300〜500m程度)季節風によって雲が横長の形になっていると考えられます。このため、日本海側でのこの落雷の半数は、上方に溜まった正電荷が雨や雪によって直接陸に向かって放電するという仕組みになっています。

冬季雷で恐ろしいのは頻度は少ないものの、通常の雷の約100倍程のエネルギーを持つ点です。

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夏季雷

日本では群馬県や栃木県などで起きやすい夏季雷は、雲から地面への放電(先駆放電、ステップリーダ)の進展が地上まで到達すると、地上から雲の下部への主放電(お迎え放電、ストリーマ)が起きます。これが稲妻です。主放電の速度は光速の10〜50%、電流の大きさは数万〜20万A、電圧は、雲と地面の間が平板コンデンサのような仕組みになるのでその間の空気中の絶縁強度や地面までの長さによって左右されますが、およそ数十万〜10億V程度になります。

つまり、この落雷は単に上から下に向かっていく一方的なものではなく、地上との相互関係で成立するものだということがわかりますね。

 

雷による被害

雷による被害は、次のに紹介する3つの現象があります。主に送電線などのいわゆる、電力系統への被害です。

 

①直撃雷

直撃雷は、電力線に直接雷が放電するものです。このとき、電力線の電位が上昇するのですが、これが鉄塔などの大地電位にある指示物から電線を絶縁状態を保持する碍子(がいし)やアークホーンの耐力を上回ると、鉄塔に火花放電が起こってしまいます。これをフラッシオーバと言います。それ以下であれば、進行波となって電線の両方向に伝搬します。

 

②誘導雷

雷による放電が雷雲同士、雷雲と大地あるいは電線の間に生じたとき、当然、電線に電磁誘導による誘導電流が生じます。これにより、静電誘導の束縛が解かれ、雷雲の電荷と電力線の電荷が拡散していく現象を誘導雷と言います。このことから、直撃雷と比べると発生する電圧は高くないですが、発生頻度は高く比較的広範囲にまで被害が及ぶので怖いですね。

 

③逆フラッシオーバ

鉄塔や架空地線に落雷すると、鉄塔から大地に大電流が流れ、その時のインピーダンス降下により、鉄塔側が高電位となり、鉄塔から電線にフラッシオーバしてしまう現象を逆フラッシオーバと言います。

 

おわりに

落雷が起こっただけで、すぐに怖がるという方もいるかと思いますが、落雷のメカニズムや落雷後の影響の知識があればどのように雷対策すれば良いかというのが見えてきたんじゃないでしょうか?

 

次回は雷対策についての話をするつもりです。

ありがとうございました。