ローゼンブラックのさらなるつぶやき

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電気磁気学で用いる単位の話(2/2)

ではでは、前回に引き続き、電気系で用いる単位について残りをご紹介致します。

 

コンデンサの静電容量

抵抗以外の電気素子として、コンデンサというものがあります。

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コンデンサの中身は上図のように導体平板2枚を平行に配置し、その間に電圧を加えると電界が発生し、各平板に電荷が蓄積されるという仕組みになっております。これら電荷を貯めたり放出したりすることができるのです。そしてコンデンサの持つ電荷を蓄積できる量を静電容量と言います。静電容量は電極、つまり導体平板の面積と電極間の物質固有の誘電率に比例し、平板間の長さに反比例します。単位はファラッド[F]を用います。

定義としては、「1[F]は1[C]の電気量を充電した時に1V生じる静電容量」としています。SI基本単位のみを用いて表すと、

F=m^{-2}kg^{-1}s^4A^{2}

という単位で表されます。

実際に電子工作などで用いる素子はμF単位と、とても小さい値の静電容量のものが使われます。

ここで、平行平板コンデンサは正負の極性関係なく使うことができますが、写真のような電解コンデンサは正負の極性が決まっているので注意しなければなりません。写真のリード線が長い方に正の電圧がかかるように用います。

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磁気に関する法則や単位

最後に磁気に関する単位について紹介します。ここで話をわかりやすくするために、単位を紹介する前に磁気に関する法則の紹介を行いたいと思います。

アンペールの法則

磁界は、下図のように電流を流す磁界が渦巻き状に発生するのですが、渦巻く方向は、電流の向きを右ねじの進む方向として右ねじの回る向きになります。これを右ねじの法則と言います。

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この時に発生する磁界の大きさをHとし、電流をI、電流からの距離をrとすると、

H= \frac{I}{2{\pi}r}

となります。これをアンペールの法則と言います。ただし、この式はあくまで特別な場合であって、正式なアンペールの法則は「任意の閉曲線を設けたとき、その閉曲線上でできる磁界の強さの線積分値は、その閉曲線内を貫く電流に等しい」としています。上の図だと半径がrの円周を閉曲線としているわけですね。

 

②電磁誘導

磁石によって作られる磁力線を束にしたものを磁束と言います。図のように磁石を動かすと、コイル内を貫く磁束、いわゆる鎖交磁束が変化するのでそれによって電圧が生じます。これを電磁誘導と言います。この時に発生する電圧を誘導起電力と言いますが、その大きさは鎖交磁束の変化分に比例します。これがファラデーの電磁誘導の法則です。そして誘導起電力にも向きがあり、磁束の変化を妨げるように発生するのです。

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③磁束

磁束にも単位があり、ウェーバー[Wb]を用います。定義では、「1回巻きの閉回路と鎖交する磁束が一様に減少して1s後に消滅するときその閉回路に1V生じさせる磁束」としています。これは、先程のファラデーの誘導起電力から定義されます。SI基本単位を組み立てて書くと、

Wb=kgm^2s^{-2}A^{-1}

となるわけですね。

 

④磁束密度

密度がついてるからわかりますよね?磁束の単位面積当たりの面密度です。単位はテスラ[T]ですね。Fate/Grand Orderをやっている方ならご存知かもしれませんが、交流電流の発明者、ニコラ・テスラから来ています。直流側のエジソンと交流側のテスラの電流戦争は有名ですよね。

話が脱線してしまいましたが、先程のウェーバーTm^2と書くことができますね。

 

⑤インダクタンス

先程のファラデーの電磁誘導の法則で、鎖交磁束が変化すると誘導起電力も磁束の変化を妨げる方向に変化するという説明をしました。これはコイルの巻線電流を変化させることでも同じ働きをします。巻線電流を変化させるともちろん鎖交磁束も比例して変化します。要するに、誘導起電力の変化分は巻線電流の変化に比例するわけです。この時の誘導起電力は比例定数を用いて

V=-L\frac{dI}{dt}

となるわけです。この比例定数Lを自己インダクタンスといいます。

自己があるということはコイルが二つ以上の場合もあると勘付きますね?

磁気的に結合した2つの巻線のうち、一方の電流を変化させるともう一方の巻線に誘導起電力が生じます。一方の巻線の番号を1、もう一方を2とすると、

V_2=-M \frac{dI_1}{dt}

です。この比例定数Mを相互インダクタンスと言います。それぞれの自己インダクタンスとの関係は次の関係があります。

M=k \sqrt{L_1L_2}

kを結合定数と言い、0と1の間の値を取ります。

 

ここで、インダクタンスにも単位があり、ヘンリー[H]を用います。1Hは、「毎秒1Aの割合で一様に変化する電流が流れるときに1Vの起電力を生ずるインダクタンス」としています。

 

おわりに

電気の単位について紹介しましたが如何でしょうか?前半は日常生活で割と馴染みの深い単位でしたが、今回はあまり馴染みがない単位でしたね。ただ、どの単位にも共通して言えるのが発明者の名前から取っているっていうことでますます馴染みがないかと思われますが、是非是非、電子工作をを扱う趣味を持っている方などには知っておいてほしい単位ですね。

 

次回は考え中です。ありがとうございました。