ローゼンブラックのさらなるつぶやき

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雷のしくみ

はじめに

お久しぶりです。高度情報化社会の進展により様々な電気設備や電子機器が開発されるようになり、今となってはそれらは我々の生活では欠かせないものになりました。ところが、落雷によって電気設備や送配電系統に影響を及ぼすと、生活や産業活動にも累が及ぶのです。そもそも、日常で使う電子機器自体、小さなエネルギーで使えるというのがウリですから雷のような大電圧に対応できる訳がないんです。

つまり、高度情報化社会の発展に比例して雷害によるリスクも高まるのです。さらには、最近では極端な異常気象が多く見られ、平均気温が1度上昇するごとに落雷数が12%増加するという研究報告がされております。実際、下のグラフのように最近になって増加しているということがわかります。

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(昭電のHPより 2010年度までの落雷被害のデータ)

落雷対策のためには、日常でも用いる電気設備や電子機器の周りに避雷器を設置するなどの対策が必要ですが、それ以前に、今回は落雷はどのような仕組みで起こるのか、そしてその被害はどのような見ていこうと思います。

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 (関西東邦産業株式会社のHPより)

 

落雷発生のメカニズム

雷は、図のように雲の中の氷の粒や霰がこすり合って静電気を帯び、内部に電荷を帯びた雲(雷雲)によって発生するのですが、雷雲の下部は負電荷を帯びます。静電誘導によって帯びてしまいます。これによって雲と地面の間に平板コンデンサのような構造ができてしまうわけですね。十分に電荷がたまり、過電圧が加わると蓄えられなくなり、絶縁破壊を起こして放電してしまいます。これが落雷です。

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(佐賀県教育センターの「雷発生のしくみ」のHPの図から改造)

この雷雲は、次にあげる3つの条件が揃えば、季節や場所に関係なく発生する可能性があります。

①空気の移動速度が速い

②空気中に多量の水蒸気が含まれている

③上空の気温が-10度〜−20度程度である。

先述の通り、雷雲は水滴や氷が擦り合わせて電気を帯びるのですが、上昇気流などの激しい大気の移動によって電離します。だから、これらの条件が揃ってしまうと落雷の危険性があるわけですね。

 

冬季雷のメカニズム

一般的な雷雲は、前の図のように縦長でしたが、実は世界ではノルウェー西岸と日本海側でのみ見られる珍しい雷現象として冬季雷というものがあります。通常の雷は先述の通り、上昇気流に伴うものですが、冬季は上昇気流が弱いものの、もともと図のように高度が低く(300〜500m程度)季節風によって雲が横長の形になっていると考えられます。このため、日本海側でのこの落雷の半数は、上方に溜まった正電荷が雨や雪によって直接陸に向かって放電するという仕組みになっています。

冬季雷で恐ろしいのは頻度は少ないものの、通常の雷の約100倍程のエネルギーを持つ点です。

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夏季雷

日本では群馬県や栃木県などで起きやすい夏季雷は、雲から地面への放電(先駆放電、ステップリーダ)の進展が地上まで到達すると、地上から雲の下部への主放電(お迎え放電、ストリーマ)が起きます。これが稲妻です。主放電の速度は光速の10〜50%、電流の大きさは数万〜20万A、電圧は、雲と地面の間が平板コンデンサのような仕組みになるのでその間の空気中の絶縁強度や地面までの長さによって左右されますが、およそ数十万〜10億V程度になります。

つまり、この落雷は単に上から下に向かっていく一方的なものではなく、地上との相互関係で成立するものだということがわかりますね。

 

雷による被害

雷による被害は、次のに紹介する3つの現象があります。主に送電線などのいわゆる、電力系統への被害です。

 

①直撃雷

直撃雷は、電力線に直接雷が放電するものです。このとき、電力線の電位が上昇するのですが、これが鉄塔などの大地電位にある指示物から電線を絶縁状態を保持する碍子(がいし)やアークホーンの耐力を上回ると、鉄塔に火花放電が起こってしまいます。これをフラッシオーバと言います。それ以下であれば、進行波となって電線の両方向に伝搬します。

 

②誘導雷

雷による放電が雷雲同士、雷雲と大地あるいは電線の間に生じたとき、当然、電線に電磁誘導による誘導電流が生じます。これにより、静電誘導の束縛が解かれ、雷雲の電荷と電力線の電荷が拡散していく現象を誘導雷と言います。このことから、直撃雷と比べると発生する電圧は高くないですが、発生頻度は高く比較的広範囲にまで被害が及ぶので怖いですね。

 

③逆フラッシオーバ

鉄塔や架空地線に落雷すると、鉄塔から大地に大電流が流れ、その時のインピーダンス降下により、鉄塔側が高電位となり、鉄塔から電線にフラッシオーバしてしまう現象を逆フラッシオーバと言います。

 

おわりに

落雷が起こっただけで、すぐに怖がるという方もいるかと思いますが、落雷のメカニズムや落雷後の影響の知識があればどのように雷対策すれば良いかというのが見えてきたんじゃないでしょうか?

 

次回は雷対策についての話をするつもりです。

ありがとうございました。