ローゼンブラックのさらなるつぶやき

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単位の深イイ話(3/3)

どうも。早速ですが前回のMSK単位系について書いた記事でお気に入り登録された方が一人いらっしゃったようです。ありがとうございます!

今回は残りの4つの基本単位について紹介いたします。

 

カンデラの定義

まず光度というのは、点状の光源からある方向へ放射される光の明るさを言います。そんな光度の基本単位はカンデラ[cd]が用いられます。由来はラテン語でキャンドルとカンテラと同じ語源です。これも、実は国際基準化されているわけですね。というのも、人間が感じる光の明るさというものは、もちろん十人十色ですからね。

現在のカンデラは「周波数540×10^{12}Hzの単色反射を放出し、所定の方向におけるその放射強度が1/683ワット毎ステラジアン[sr]である光源の、その方向における光度」と定義されております。この定義で示した周波数は緑色近くの可視光で人間の目にとって最も視覚の感度が高いところなんですね。ここで、ステラジアンという単位についてお話しします。下図に示すように、ステラジアンは立体角に関する単位で球の半径rの平方、つまり一辺がrの正方形と等しい面積の部分の中心に対する立体角です。立体角についても補足しましょう。簡単にいうと今まで単に「角度」と言っていたものは平面角と言って長さのような概念を示してましたが、立体角の場合は面積のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。

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立体角ステラジアン

 

 

モルの定義

モル[mol]といえば化学における現象を理解するのによく用いられていますよね。

定義では「0.012キログラム(12グラム)の炭素12の中に存在する原子の数と等しい構成要素を含む系の物質量」とされています。1971年に定義されたものなので現在使われている基本単位の中では最も新しく生まれた基本単位なんですね(定義に限ってはメートルが最新)。

 

ケルビンの定義

熱力学温度、いわゆる温度の基本単位はケルビン[K]になっております。「1ケルビンを水の三重点の熱力学温度(0.01℃)の1/273.16倍とする」と定義されています。表記に関して注意しておきますが、ケルビンには⚪︎や度は付けないことになっています。一般的に用いられているセルシウス度C(摂氏)とは次の関係があります。

C=K-273.15

それからこれは皆さんには馴染みはないかもしれないですが、気候の分野で使われるファーレンハイト度F(華氏)ではKと次のような関係があります。

F=9/5K-459.67

 

 アンペアの定義

さぁ、いよいよ我々電気屋のお待ちかねです。電気の基本単位といえばもちろんアンペア[A]です。由来は、これは電磁気の話でも出てくるんですが、電流の周りに発生する磁場との関係を導いたアンペールの法則を発見したことで有名なアンドレ・マリー・アンペールという人にちなんでおります。

定義では「真空中に1mの感覚で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の1メートルにつき1000万分2ニュートン(2×10^{-7}N)の力を及ぼしあう直流の電流」とされています。つまり、これはMSK単位から関連づけて定義されていたわけですね。この力の大きさを測るには次の写真に示す電流天秤(ワット天秤)を高真空中で使います。

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また、前回のキログラムで話したように、この装置がキログラムの再定義に重要な有力候補の一つになっているわけですね。ただこれも結局天秤に分銅を用いているので少し怪しいのではないかと思われます。

 

おわりに

基本単位の国際化および7つの基本単位について触れて参りましたが、何と言っても驚きだったのが、現在のキログラムの定義がかなり原始的で物理的現象による根拠がないところでしたね。この単位もまた、科学技術の発展に基づいて再定義されることでしょう。

 

次回のネタは未定ですが、ぼちぼちと更新していく予定です。お楽しみに。